音ゲーを攻略するということ
これまでゲーム内容の紹介にとどまっていた各誌であったが、この頃から攻略記事が掲載されるようになり始める。2ndMIXで高難度の譜面が増えてきたため、攻略需要が伸びてきたものと思われる。
攻略記事の先陣を切ったのはゲーメストであり、アーケードゲーム専門誌の面目躍如といったところ。しかしながら、これまでにないジャンルということもあり、当初は手探りで記事を作成している様子が見受けられる。
遂に動いたゲーメスト
ここまでビートマニアについて、ほぼノータッチであったゲーメストだが、2ndMIX稼働1ヶ月後の5月30日合併号(4月30日発売)で2ページに亘って初めての記事が掲載された。
内容は「ライターがビートマニアをプレイする写真をマンガ風に紹介したもの」「ビートマニアの画面説明と遊び方」「サントラ"BEATMANIA REMIXES"の紹介」となっており、最後に「果たして続けさせてもらえるのか!?待て次号!!」と締めくくられている。
ゲーメスト(1998年4月30日号)の初めての記事。コナミの販売促進部も特別出演している。
はじめての攻略記事
次号のゲーメスト(1998年6月30日号)では1ページの記事で「DOUBLE PLAY」「HIDDEN PLAY」の隠しコマンドを紹介。「フリーゾーンでGREATを出す方法」と「楽曲人気投票企画」を掲載。最後に、いよいよ次号で攻略記事を掲載する予定としている。
タラタラと始まった感のある本連載だが、次号からは、ついにビシッとした攻略を開始(あくまで予定)だ。
記念すべき第1回の攻略曲は、初代ビートマニア最大の難関にして、ギャラリーへのアピール度も1、2を争うステージ3の難所「HOUSE」。
ゲーメスト 1998年6月30日号
そして、ゲーメスト(1998年7月15日号)では「10万点スコアの算出方法」と、理論値スコアである「10万点(パーフェクト)+ボーダーボーナスの取り方」を紹介。具体例として「anbientの終盤で何回空打ちPOORを出すとボーダーになるか」を解説。ゲーメストらしい攻略記事が作られ始めている。
ちなみに、2ndMIXリリース時に発表されていた収録曲数は「13曲+α」だが、実際の収録曲は20曲(2P専用曲は除く)である。隠された7曲は前ステージのスコアが条件で出現する。これらの隠し曲の存在により、クリアだけでなく、高スコアを狙うことへの動機づけにもなっている。
はうす日記
ゲーメスト(1998年7月15日号)では、前号の予告通りHOUSEの攻略記事も存在する。譜面を抜粋して難所の攻略を行っており、主に譜面の構造を分解して「ここは(1・4・4)→(2・5・5)→(2・5・2・5)の繰り返し」(HOUSE後半の難所部分)といった感じで、分解した譜面を左右どちらの手で捌くかという内容となっている。この段階では「どの指で押すか」というところまでは言及されていないものの、後の運指による攻略に通じるものが垣間見える。
ゲーメスト(1998年7月15日号)。日記形式になっているが、最終的にクリアできたとは明記されていない。
気を付けるのは①+④、①+⑤の同時押しのところ。左手の①の3連拍に右手の④を合わせるようにして、右手がつられて連打しないように、とだけ考えればいいかな。
配列だけ見れば実に単純。①→④→①+③→④→①→…の繰り返しだし、リズムも一定だ。こきゃ、簡単…と思いきや、左手の動きが混乱して①なのか①+③なのか判断できない。
実はハウスの曲の中で片手による同時押しを要求されるところはこのパートだけなので、左手さえスムーズに動くようになれば、後は空いたところに右手を加えて完成だ。
ゲーメスト 1998年7月15日号
インタビューで語られた開発秘話
続くゲーメスト(1998年7月30日号)では、開発者インタビューを掲載、2ndMIX制作秘話について触れている。曲ごとに判定を変えている理由として「BPMの速さと判定幅を調整するため」「判定の厳しさで難易度調整するため」「曲の特徴を出すため」などを挙げている。
曲ごとに違っています。これはBPM(曲のテンポ)の早さによって実際は幅が違ってくるので微妙に調整をとってゲームとして成り立つようにしてあります。
最初の面やDJバトルは判定の幅を広くしてゲージが下がりにくくしてあります。
また、Greatの幅を狭くしてGoodの幅を広くすれば、ゲージは下がりにくいが、点数は上がりにくくなります。ブレイクビーツがそれに当てはまりますね。
ゲーメスト 1998年7月30日号
2ndMIX攻略の決定版あらわる
そして7月上旬、ついに2ndMIX攻略記事の決定版ともいえる記事が登場。マイコンBASICマガジン1998年8月号綴じ込み付録「beatmania 2ndMIX Funky DJ Guide」である。
この付録では24ページ綴じ込み小冊子で2ndMIXの全譜面を掲載。各楽曲のBPM推移や音符数に難所のポイント、各ページのコラムでスコアや判定、上達のコツ、関連グッズなどを掲載しており、この段階では非常に完成度の高い内容となっている。
ベーマガ1998年8月号小冊子から抜粋。ベーマガも譜面の要素を左右の手に割り当てる解説をしており、当時の攻略のスタンダードな形だったものと考えられる。
リズムの取り方については「ズンチャッズチャッ、チャー」「チャチャッチャー」「ターンターン、チャ(最後のチャがスクラッチ)」など、擬音を駆使して解説している。
ピアノのフレーズは、どれも同じリズムに見えて微妙にちがうので注意。7小節目「ターンターン、ズチャッチャズッチャ」。8~10小節目は「ズッチャ、ズチャ、ズチャッズチャズッチャ」、28~35小節目は「ズチャーンチャ、ズチャッチャッ、ズチャズチャ」だ。27小節目は、③を右手で連打しつつ①(①+⑤)を左手で押す。リズムは「ダダダダ、ダダダダ、ダダダダ、ダッダダ」。
ベーマガ1998年8月号小冊子 20,november(single mix)攻略ページ
また、この小冊子では判定などかなり細かい仕様についても触れられている。「プレイする前にターンテーブルを回してみて重さをチェックしよう」といった筐体ごとの個体差や、判定の内部的な処理についてなどかなり突っ込んだ内容となっている。
ベーマガ1998年8月号小冊子から抜粋。「微ズレ配置は内部的には同時押し扱い」「判定は曲ごとではなく小節ごとに異なる」といった点まで紹介しているのは同誌のみである。
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