ジェネラル判定の真実
皆さんは、音ゲーの歴史上誰もクリアできなかった楽曲をご存知だろうか?
IIDX 9th styleの「General Relativity」は、一定条件下で絶対にクリアできない状態(通称「ジェネラル判定」)になってしまう。
古参IIDXerの中では有名なジェネラル判定。しかし、あなたはその真の姿を知っているだろうか?
ジェネラル判定とは
まず、ジェネラル判定について一般に知られている情報を整理していこう。
「General Relativity」はIIDX 7th styleで登場した楽曲で、10th styleまで収録されていた。難易度はSPN 3/SPH 6/SPH 7(CS IIDX13基準)と比較的易しい譜面になっている。
だが、9th styleの「General Relativity」に限り、判定幅が「その筐体で一つ前に選曲した楽曲と同じ」になるという仕様になっている。
つまり、「GAMBOL」をプレイした後に「General Relativity」を選曲すると「GAMBOL」の判定幅に、「moon_child」をプレイした後に「General Relativity」を選曲すると「moon_child」の判定幅になるということである。
恐らくは、「General Relativity」に判定幅を指定する変数が設定されていないことが原因で、前の曲の判定幅がそのまま適用されてしまうという挙動になっているものと思われる。つまり、バグというよりは設定ミスである。
「その筐体で一つ前に選曲した楽曲と同じ」ということは、1曲目に「General Relativity」を選曲した場合は、前のプレイで選ばれた楽曲の判定幅が適用されることになるのだが、電源投入直後に「General Relativity」を選曲した場合、参照する判定幅が存在しないため、判定が無くなってしまう(POORしか出ない)。これが「ジェネラル判定」である。
それでは実際にジェネラル判定を見てみよう。
(注:音声が流れます)ジェネラル判定の紹介動画。ジェネラル判定ではPOOR以外の判定が出なくなってしまう。
ジェネラル判定はジェネラル判定を参照するか?
それでは、ジェネラル判定発動直後に、再度「General Relativity」を選曲した場合、判定はどうなるのだろうか?
結果は、下の検証動画をご覧いただきたい。
(注:音声が流れます)ジェネラル判定でプレイし続けることはできるのか検証。
「ジェネラル判定のGeneral Relativity」を連続して選曲し続ければ、ジェネラル判定が継続されるのである。
なお、ジェネラル判定はプレイするモードや譜面難度を問わず発動するため、FREEモードであれば1クレジットでジェネラル判定を2回体験することができる。
ジェネラル判定の発動条件が誤解されている
起動後の初プレイ時に発動するとは限らない!
ジェネラル判定は「AC版9th styleで電源投入後の初プレイで1曲目に“General Relativity”を選曲すると発動する」と言われているが、これは正確ではない。
実は、「General Relativity」はデモ画面で自動演奏される楽曲の判定幅も取得するのだ。つまり、ジェネラル判定の発動条件は、
【AC版9th styleで電源投入後、デモ画面に遷移する前にプレイを開始し、1曲目に“General Relativity”を選曲する】
…ということになる。
(注:音声が流れます)ジェネラル判定がデモ画面で上書きされてしまうかの検証動画。
眠れるジェネラルが目覚めたのはなぜか?
電源投入後、デモ画面に遷移する前にプレイを開始し「General Relativity」を選曲するという極めて限定的な条件下でしか発生しないジェネラル判定。
通常、筐体の電源を投入するのはゲームセンターの開店前であり、プレイヤーが偶然ジェネラル判定を発動させる可能性は極めて低いはずだ。
非常にレアな状況下でしか発生しないジェネラル判定は、なぜ発見されてしまったのか…
9th styleは挙動が不安定で、フリーズすることが多かったのである。
フリーズした場合、営業時間中に筐体を再起動することになり、その直後のプレイで「General Relativity」を選択してしまったプレイヤーがジェネラル判定に遭遇してしまったということなのだろう。
判定は「無」ではない!
「ジェネラル判定は、判定が無いためPOORしか出ない」と言われているが、ジェネラル判定でもノーツの判定はきちんと存在している。もし判定が存在していないなら、POORすら出ないからである。
正確には「P-GREAT・GREAT・GOOD・BADが出ないノーツ」が流れてくるわけなのだが、これにより奇妙な現象が起きる。この記事の最初で紹介した検証動画のリザルトを確認してみよう。
ジェネラル判定を、通常ゲージで普通に打鍵した際のリザルト。POORの数が総ノーツの約1.7倍になっている。
ジェネラル判定ではP-GREAT・GREAT・GOOD・BADが出ないため、ノーツに合わせて打鍵しても空打ちPOORが出てしまうのである。しかも、空打ちPOORではノーツの判定が消えないことから見逃しPOORも発生してしまう。
ジェネラル判定のノーツは「無視するとPOORが1個、叩くとPOORが2個出るノーツ」であり、判定が「無い」どころか「負」の判定を持っているのである。
なお、ジェネラル判定の空打ちPOORはFAST方向のみ存在しており、SLOW方向では発生しない。詳しくは次の検証動画をご覧いただきたい。
(注:音声が流れます)ジェネラル判定のPOOR判定について検証しています。
今回の調査結果を、巷でよく見かける判定表(すー氏作)に当てはめるとこのようになる(フレーム単位の調査はできないため、大まかなイメージです)
ジェネラル判定で理論値を出す方法
ジェネラル判定で理論値を出すにはどうすればよいだろうか?
大前提として、POOR以外の判定が出ない以上、スコアは0点が最高値である。
スコアが最高値であれば、次に考慮すべきはMISS COUNTである。これまで述べてきたように、ジェネラル判定ではタイミング良く打鍵するとPOORが2個出てしまうため、ノーツを見逃すことでPOORを1個に抑えることができる。つまり、一切操作せず放置することが最良となる。
なお、9th styleは見逃しPOOR50個での強制終了がまだ実装されていない時代のバージョンであり、放置しても強制終了することは無い。POORが少ないほど良いリザルトといえることから、ジェネラル判定の理論値を出す方法は「HARDゲージで放置して見逃しPOORでゲージを0%にする」である。
ジェネラル判定、最後の謎
さて、ここまでジェネラル判定の真相に迫ってきた。
ここで一つ疑問が浮かぶ。ジェネラル判定はデモ画面で流れた曲の判定幅も参照するわけだが、デモ画面でGeneral Relativityが流れた場合、判定はどうなるのだろうか?
内部的に判定幅が更新されるということは、通常のプレイと同様のプログラムが走っている可能性が高い。つまり、起動直後のデモ画面でGeneral Relativityが流れた場合、ジェネラル判定でオートプレイが行われるのではないだろうか?
だが、9th styleのデモ画面で旧曲が選ばれるのかは不明であり、もし旧曲が選ばれるとしても、電源投入直後に全240曲以上の収録曲の中から選ばれる可能性は途方もなく低い。
残念ながら、筆者はこの件については調査することができない。我々は未だジェネラル判定の深淵には到達していないのだ…
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