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1997/04ビートマニア制作プロジェクトチーム編成(9/6追記)

 初代五鍵盤ビートマニア(1stMIX)が稼働したのは1997年12月10日。アーケードにおける音ゲーの火付け役となるこのタイトルはわずか8ヶ月で開発されたという。まだ音楽をテーマにしたゲームが少ない時代、どのような経緯でビートマニアは開発されたのか。開発中の貴重な画面写真などを交えながら見ていきたい。

1997年のゲーセン事情

 1995年に登場し大ヒットした「プリント倶楽部」により、ゲームセンターは従来の「暗い・汚い・怖い」というイメージから脱却。これらシール自販機と、UFOキャッチャーなどのプライズ機がゲームセンターの売上を支える形となった。一方で格ゲーブームが終わったビデオゲームの売上は低迷、ゲームメーカー各社は「新しいジャンルの開発」を模索していた。

この時期のコナミのアーケードゲームって何があったっけ?
「対戦とっかえだま」とか「スーパービシバシチャンプ」とか…

音楽をメインにしたゲームを作りたい

 コナミは1995年に開発したイントロ当てクイズゲーム「ドレミファグランプリ」を投入した際に「音楽を扱うゲーム」についての可能性を見出していたようで、同社サウンドクリエイターからも自分の手掛ける音楽を前面に押し出したタイトルが望まれていた。

ゲームにBGMは付きものだ。だが裏方だった音楽も、最近ではサウンドトラックとしてCD発売されることも稀ではない。音楽制作技術が向上している証拠と言ってもいい。

そこでクリエイターたちの中にも「自らの技術が前面に出る、音楽そのものを扱ったゲームを作りたい」という要望が高まっていた。

経済界 1999新春特大号

 1997年4月に編成されたプロジェクトチームから「ビートマニア」の企画が出てきたのは5月。企画を提案したのは入社2年目の水木潔氏だった。

MIZKINGだね

水木氏のこれまでにない発想の企画が実現した理由の1つとして、コナミはここ数年、業務用ゲームではこれといったヒット商品がなかったという事情もあっただろう。

業務用ゲームでこれまでにない斬新な新製品が求められていたのだ。

日経ビジネス 1999年2月15日号
「ドラグーンマイト」が大ヒットしてたら、ビートマニアの企画は通らなかったのかもしれないのかー!

開発時のタイトルは「DJ BEATS」

 プロジェクト開始当初は「ビートマニア」という名称ではなく「DJ BEATS」や「GR753」という呼称だった。2ndMIXのサントラの付属ブックレットに開発途中の筐体デザイン案が掲載されており、開発途中のタイトル候補としてこれらの仮タイトルの名前が挙がっている。

なんで「GR753」なんだろう?
573にS乱かけたんでしょ(適当)

(8/20追記)ビートマニアに使用されているシステム基盤GQ753。「GR753」の由来はこれだろうか。

開発段階ではノーツが丸かった

ベーマガに掲載されていた画面写真

 開発中のものと思われる画像が「マイコンBASICマガジン」1998年1月号に掲載されていた。開発段階では鍵盤のノーツが丸型で、黒鍵のノーツが青ではなく黒に近い灰色となっており、それ以外の画面構成もだいぶ異なっていることがわかる。

譜面や得点・BPMがいい加減な値になっているのはビーマニの開発中画像ではよくあること。

タイトルが「DJ BEaTS」だ!
何だこの丸いオブジェ!スクラッチオブジェも、よく分からないタイミングで個別にヘニョってるぞ!
踊る人の下にオーディオビジュアライザーがあるし、ゲージ周りも結構違うな
判定ラインも無いし。どのタイミングで叩けばいいんだこれ…

 なお、初期のビートマニア(五鍵1st,2nd及びIIDX1st style)では小節線にかかるタイミングで画面内の鍵盤ノーツが躍動する演出はあるものの、丸型にはならない。

 開発中の画面では、スクラッチノーツが小節線に関わらず個別のタイミングで躍動しているのに対して、画面内すべての白鍵・黒鍵ノーツは同じ形状であることから、躍動演出で丸型になっているのではなく、常時丸型になっているものと推察される

こちらは製品版1stMIXの小節線で躍動するノーツ。画面内の全ノーツが同時にアニメーションしている。

開発中の方はグルーヴゲージが一本しかないけど、まさか二人プレイ時もゲージは共有にするつもりだったのかな?
共有方式だと初心者が足を引っ張っちゃうから、二人プレイの敷居が高くなるね。変更したのは妥当だな
グルーヴゲージはフロアの盛り上がり度だからゲージ共有の方がDJシミュレーターとしては本格的だけどね

(9/13追記)Ryu☆氏も丸型ノーツを知っていた

 「BEMANIぴあ」に掲載されている「kors k×Ryu☆対談」で、Ryu☆氏が丸型ノーツについて言及しており、コナミ直営ゲーセン「チルコポルト」で配布していた広報誌で見たとのことであった。

1997年ごろ、KONAMIが当時運営していた「チルコポルト」というゲームセンターに新作ゲームが載っている広報誌があって、そこに「beatmania」のことが書いてあったんです。

広報誌では上から降ってくるオブジェが玉型で、今の「pop'n music」みたいだったんですが、最終的にリリースされたものは平たいオブジェで、「こっちのほうがタイミングが合わせやすいんだ」と思った記憶があります。

ビーマニぴあ 1999新春特大号
まさかの流通していない資料!コナミの広報誌、いったい何Nan?Da…

 この時期にゲームショップやゲームセンターで配布されていたコナミのフリーペーパーは「KONAMI magazine Vol.5」「KONAMI LOOK'97冬号」。前者は主に家庭用ゲームを、後者はグッズやファンからの投稿をメインに扱っていたようである。

音楽で競い合ったことってありますか?

KONAMI magazine Vol.5(1997年11月配付)には、前掲のベーマガ画像と同様の画面写真が掲載されている。Ryu☆氏が見たというのはこの記事だろうか。

 「KONAMI magazine Vol.5」には「2Pでは別々に結果が表示され、お互いに競い合うことができる」と書かれており、画面写真は両サイドとも同一の譜面となっている。1stMIXの2人プレイは両者がそれぞれ別々のパートを演奏する協力プレイ形式であるが、この開発中画面は3rdMIXから実装されるBATTLEモードの仕様である。

 開発中の画像はダミーの適当な譜面である可能性が高いため、あくまでも憶測の域を出ないものの、もし1stMIXの2人プレイがBATTLEモード仕様で実装されていたとしたら、1人で両サイドをプレイすることが極めて困難となり、このようなパフォーマンスをする者が現れず、2ndMIX以降にDOUBLE PLAYモードが実装されることが無かったかもしれない。

いきなりDOUBLE+BATTLEはキツそう…
「そういう仕様にするつもりだったのかも知れない…」という推察でしかないけどね
2人プレイは、1Pが上手い人で2Pを初心者にやらせることでプレーヤーを増やす効果もあるし製品版の仕様で正解なんだとは思う

(9/13追記)KONAMI magazineの記事から垣間見えるビートマニアの志

KONAMI magazine Vol.5の紹介記事。一般に筐体から連想されるヒップホップではなく、テクノ中心の解説をしていることが興味深い。

 同誌の紹介記事では、ゲームの遊び方については前掲の画像の通り最低限の説明にとどめ、見開きページで世界観を前面に押し出している構成となっている。音楽に関する解説も、当時の一般的な感覚からすると若干専門的であり、「様々なジャンルの音楽を知って欲しい」という思いが込められているように感じられる。

 そして、97年冬。「beatmania(コナミ)」の登場でダンスミュージックは新展開を迎える。テクノサウンドだけに留まらず、ミクスチャー的要素で様々な要素を包括したミュージックゲームをプレイできるのだから。

 一度プレイすればわかると思う。これは、世界のダンスミュージックの歴史に残る衝撃的なゲームだ。

KONAMI magazine Vol.5

 時代の一歩先のジャンルを扱っていくという志は、20年以上続く本シリーズの原動力となっているのではなかろうか。

コナミが作っている広報誌なのに、ビートマニアの紹介でDJ BEATS時代の画像を使ってるのは何故なんだ…
広報部隊に渡されたのがこの画像しか無かったのかなぁ?
それにしてもこの解説文書いたのは誰なんだろう…

 なお、同時期に配布されていた「KONAMI LOOK'97冬号」にもビートマニアの記事が掲載されているが、筐体の写真とゲーム内容の簡単な紹介のみ。Ryu☆氏が丸型ノーツを見たという情報誌は「KONAMI magazine Vol.5」であった。

ボタンも丸かった

 開発当初は「丸型のボタンが3個」だったものが、クラブミュージックという世界観が固まった段階で「四角のボタンが5つ」になったと水木氏が語っている。開発中のノーツが丸型だったのは、ボタン形状に合わせたのが理由だろうか。

一番最初は、ボタン3つにターンテーブルでした。しかもターンテーブルが真ん中にひとつで、2Pで取り合うような形で「これはやりづらそうだ」と

ボタンの方は、「ポップンミュージック」のような、大きい丸ボタンを考えていたんです。

世界観を作った段階で、もっとPA機のような、機材っぽいイメージにしようと考えて。「鍵盤しかないな」ってことで四角いボタンなんです。5つになったのは、鍵盤に見える最低限の形という理由なんですよ(笑)。

ビートマニア プレスミックス

 ノーツが丸かった「DJ BEATS」時代には既に画面のレイアウトが出来上がっていたことから考えると、ボタンを5個に変更する際に「レーンが追加できない」という問題が浮上したであろう。

 もしレーンを5つにした場合はBGアニメ部分が狭くなり、既に描かれていたBGアニメを作り直す必要が出てきてしまう。これは想像の域を出ないが、黒鍵が白鍵のレーンを跨いで配置されているのはボタンを3個から5個に変更したことの名残りではないだろうか

 もし、ボタンを鍵盤状にすることで「音響機材っぽい雰囲気の演出」と「3レーンのまま5ボタン分のノーツを違和感なく配置する」という両方の効果を狙ったとしたら慧眼といえるだろう。

スクラッチ共有案はポップンの赤いボタンに受け継がれていった?
さっきの画像は、ボタンの形が鍵盤になって、ノーツが変更される前の貴重な一枚なのかー

丸型ノーツは消滅したのか?

 ビートマニアのプレイ画面は1stMIXの時点でほぼ完成されており、現行のIIDXに至るまで20年以上大きな変更もなく使用されているが、今回発掘された開発中の画像からは、まだノウハウが無い時代に、制作陣が試行錯誤しながら手探りで開発していた跡が伺える

 また、丸型オブジェは製品版では不採用になったものの、後に開発されるpop'n musicで採用されており、ビートマニア開発時に得たノウハウが生かされているともいえる。

製品版のノーツも実際はフリスビー状になっているようなので、上から見れば丸いのかもしれない。

丸型ノーツは、ポップ君という判定ライン付きの正解が見つかったのでよかったよかった

 詳しくはこちらをご覧下さい。